マス×ソーシャルの肝は「バルス祭り」「よろしくお願いします祭り」で学ぶ(ad:techレポート)

ad:techの講習、なんだか概念的なものが多い?と感じつつも初めてのad:techを満喫しました。2コマ目で受講したのは、マスメディア×ソーシャルメディアの連携が産み出す相乗効果について、「マス」「ソーシャル」から生まれる最適キャンペーンとは?というテーマでのセッションでした。マスだけでも、ソーシャルだけでも成り立たなくなってきているキャンペーンについて、過去に成功した事例紹介とポイントの説明がありました。

 

■メディア、クライアント、インターネット広告といろいろな立場からの登壇者

原 浩生氏
日本テレビ放送網(株)編成局メディアデザインセンターメディアクリエイション部主任
長澤秀行
(株)サイバー・コミュニケーションズ代表取締役社長 CEO
鹿毛康司
エステー(株)執行役 宣伝部長 / クリエイティブ・ディレクター
坂井康文
サントリーホールディングス(株) 広報部デジタルコミュニケーション開発部長
徳力基彦
アジャイルメディア・ネットワーク(株) 代表取締役社長

■いかにお祭り化するかがポイント

日テレの事例紹介として、過去にソーシャル×マスで盛り上がったものとして、「バルス祭り」が挙げられました。Twitterの世界記録(秒間2万件、前後も入れれば10万を超える)を持っているラピュタの例のアレです。その次の祭りとしては、サマーウォーズのエンターキー押す所、「よろしくお願いします祭り」というのも発生しているそうです。番組開始前に公式アカウントからの発信で視聴者を確保しておくことで、映画後半の視聴率アップに繋がったという、ソーシャルの盛り上げ=視聴率の向上となったわかりやすい事例でした。また、ソーシャルでの盛り上げがあると、CM中の視聴率がそんなに落ちないという傾向もあるそうです。普段ならCMになるとチャンネルを変えていたところですが、ソーシャルがあるとCMの間=ツイートしてみんなに共有する時間ということでの視聴率維持ではないかと。実際にCM中にはツイート数アップしているそうです。お祭り化、イベント化=成功の原因ということが言える事例でした。

■番組と連携するCMは「タイムCM」での放映が効果的

  • タイムCM :番組自体に連動したCM
  • スポットCM:どこに流れるかわからないCM。ここ10年の主流

アニメ番組のCMで、そのアニメのキャラクターがCMで商品紹介をするパターンや、サッカーワールドカップのCMで流れたHONDAのCM「負けるもんか」のYoutubeURLを公式IDから流して共有・拡散の勢いをさらに強めることであったり。ソーシャルと連携するなら繋がりをうまく取れるタイムCMで出していく方が効果あるとのこと。つづきはWEBでっというざっくりとした繋げ方ではなく、もっと自然に繋げることができる。

また、CMのつくりかたも変わってきているという指摘がエステー(株)の鹿毛氏より。謎のところいっぱい残しておく方がもっと見たくなる、調べたくなるので、エステー(株)ではソーシャルでさらに調べたくなるような中途半端なCMつくりを目指しているというお話が。テレビで完結していたCMが、ソーシャルに参加することで完結するCMというパターンもでてきそうです。

■トータルコミュニケーションの必要性

ひきつづき怒涛のトークのエステー(株)鹿毛氏。すごいパワフルでした。エステー(株)は企業のCM投入ランキングでは267位で、「ものすごい投入量のサントリーさんとは違って…」と同じ登壇者のサントリーと比較させながら、少ない投入量をいかに効果的に盛り上げていくかという事例を紹介されました。その中で鹿毛氏自らの手書きの紙を表示されましたが、CMの投入からネットニュース、Twitterでの論調、TMRのツイート、ミゲルのTV出演など、どんな風にしてコミュニケーション全体が大きくなっていったかがわかりやすくまとめられていました。

またマスとソーシャルをどのように連携させて話題化させていくかを、クライアント、広告のプランナー、ネット系の制作者、いろいろな考えを持った人があつまって相談しながらしくみを作っていったそうです。それがまとめられていた資料も紹介されましたが、こちらも鹿毛氏の手書きで、モデレーターの徳力氏が「これは写真撮っても、持ち帰ってこれを見ても内容は説明できないですねぇきっと。」とおっしゃっていたのですが、やはり解読できませんでした…。

ただ、ポイントとしてはコンテンツの特性を見極めてどのようなメディアを使っていくか検討すること、ここができないと代理店の価値がないとクライアント側からの意見がありました。オールデバイスの効果測定ができるようになってきていることで可視化されている。これを活用してベースアップしていくための土壌としてのFacebookを活用していくことがこれからできることだという指摘でした。

■登壇者よりポイント・アドバイス

  • ソーシャルは短期的成果が見えずらい。年金みたいに早めに利用してその価値をどんどん貯めるのがよい。
  • 常時ONであるモバイル・スマホをマスとどう連携させるかを常に考える必要がある
  • TVはファンタジー、ソーシャルはリアルという感覚。ソーシャルの声はそのまま流すくらいじゃないとメリット活かせない
  • 技術論ではなくて、女性をくどくためにどうするか、くらいのつもりで考えること
  • 話すだけではなくて、声を聞いて反応を見るところから始めること

キーノートで語られた下の6つのポイントと共通することが満載の実例紹介でした。

1.Be authentic
2.Be Useful
3.Be entertaing
4. Be Relevant
5.Be Timely
6.Listen

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