2013年10月29日
講 師:高松聡 氏 GROUND 代表 / チーフ・クリエーティブ・ディレクター
テーマ:「Advertising is Dead.」
場 所:AOI Pro.本社
AOI Pro.さんで開催のはみだし塾。急激に変化してきている広告業界から、はみだしている方を招き、将来の広告がどうなっていくかヒントを探ろうという会。今回は「Advertising is Dead.」というテーマで、GROUNDの高松聡氏のお話を聞いて、内容をメモしました。うまく聞き取れていない部分、理解できていな部分があるかもしれませんが、聴講のメモとしてご了承ください。
■38歳でクリエーティブへ転身
- 宇宙飛行士になりたかったが視力が悪くて断念
- やり甲斐がありそうと思い電通入社
- バブルの時代でやり甲斐のある仕事ができた
- 元々は広告が作りたかったわけではない
- 世の中のちょと先行くことをしたかった
- 過去は広告もそうだったが今はそうではなくなってきている
★世の中の動きが激しく取り組み方を変える必要がある
- 38歳で営業局からクリエーティブ(CDC)に入った
- 1年で結果を出す必要があった
- 他のクリエーティブとは別の攻め方が無いかを考えた
- インターネットはまだ普及していない時代だった
- TVのニュースになるような企画を心がけた
★広告表現のクラフトよりもニュース性やストーリーを作ることに注力した
■記者発表が必ずあるようキャンペーンを企画した
【事例01】パブリック・ビューイング in 東京 – スカパー
- 2002年W杯日本戦で予算は無いがアピールしたいというオーダー
- 東京では試合は無いが、国立競技場が空いていた
- 予算が無いならイベントで観客から参加費をもらおうという企画
- 地元警察、警察庁、政府、自衛隊までかけあって実現
- 誰も集まらないという周りの人の声の中、確信を持って実施
- 2500円で5万人集めることに成功(ヤフオクでは40000円で取引)
- ニュース性があることを企画すると誰もノウハウを持ってないのでやることが増える
【事例02】ポカリスエットで世界初の本格的宇宙CM – 大塚製薬
- 世界初の本格的な宇宙CM
- ISS(国際宇宙ステーション)を民間で使用した初めての事例
- 記者発表を計4回行った
- SPACE FILMS社の設立
- 大塚製薬がCMを作ります
- CM撮影が成功
- CMのお披露目
【事例03】NO BORDER – 日清食品
- 2年間に8本のCMを制作
- 日清食品のコンセプト「食足世平」を表現できたCM
- 宇宙篇で完結し世の中的にも納得感のあるキャンペーンができた
【事例04】FREEDOM – 日清食品
- 宇宙の次は月へ行くアニメーション
- CM + 大友克洋のアニメーションDVD発売
- DVD販売収入でアニメーションスタジオを回すモデル
- ブランデッドエンターテインメント
- インターネットやモバイルでも展開したインテグレーテッドキャンペーン
【事例05】Android au
- 世間にまだ広まっていないAndroidの機能を伝え不安を解消
- 嵐のメンバーにAndroidでできることをやってもらい200パターン撮影
- 記者発表にのせるためギネス記録を超える200パターンに
【事例06】AKB + Google+
- AKBメンバーは事務所がバラバラなのでSNS投稿もバラバラ
- リアルタイムに情報発信したいAKB、Google+を訴求したいGoogleがマッチング
- AKBメンバーが同時にGoogle+を開始する記者発表
- 広告っぽくないGoogle+の訴求ができた
■広告の効果が下がってきている
【理由01】真実はだれでも知ることになる
- 商品のことを知るのは昔はテレビやパンフレット
- 今は知るために広告を見る必要が無い
- インターネットのほうが真実に近い情報がある
- 参考)metacritics.com …エンタメの評価を集積~提供するサービス
【理由02】嘘を守ることが不可能になる
- 誇張して商品のスペックを広告してもすぐにばれる
- 情緒的、感性的なこともテクノロジーで解決されてきている
- ECサイトのレコメンドエンジンの精度80%以上に
【理由03】情報を操作することはできるが悪
【理由04】最近CMを見て何か買ったか?
- コンビニの新しいお菓子はCMの影響で買うことがある
- 300円以下のものにはまだ広告の影響がある
- 高額商品は購入の意思決定にCMの影響が小さくなってきている
- 商品選定を広告に影響されたくないとまで感じることもある
【理由05】広告していないけど売れているものが増えてきた
- よいものは広告がなくても評判になるようになった
- 愛知で作っている18ヶ月待ちのホーロー鍋
- なにも広告していないのに売れているものがある
【理由06】Youtubeの頭に流れるCMに怒り覚えることがある
- 4秒間でも消したくなる冒頭の広告
- 同じものが何度も流れると逆にそのブランドに嫌悪感を持つ
- 今はユーザーが邪魔に感じるものはすぐに改善されていく時代
- 興味無いものを着信拒否できないものへの拒絶感
■広告の有り無しをユーザーが選択できる時代になる
【参考】全番組全チャンネル録画機器 スパイダー
- 4TBの容量もすぐに手に入る時代になる
- 現在はまだ普及していないがすぐに普及する日がくる
- 録画機器にもCMスキップ機能
- 雑誌は手動でスキップできるので雑誌広告はなくならない
【参考】オンデマンド・ストリーミング音楽配信 Deezer.com
- 音楽ストリーミングサービス
- 10ドル/ヶ月で世界中の音楽が聞ける
- 曲と曲の間に広告の入る無料版と広告なしの有料版がある
- itunesよりもきれいな音質
- 曲を単体でお金だして購入する時代も終わる
- 30%が有料版ユーザー
- 革命的なサービス
- 無料でサービスを使いたい定収入な学生や若者は広告があっても無料版を使う
- 低価格の商品には広告がまだ有効
- 高収入な人はお金を払ってでもストレスのない広告無し版を利用する
- 高額なものへは広告が効きにくくなってきている
★すべての広告は着信拒否できるようになる
★ユーザーが不満に感じることは驚くほどのスピードで進化していく
★Push型でその人に価値のない広告は死んでいく
■Pull型のブランディングに最大の可能性がまだある
逆にその人にとって価値があれば広告はPullされ、視聴され、無くならない
★クリエイティビティ的にみたいと思うものも無くならない
★その人にとって関心のあるものも無くならない
★多くの人がみたいと思うようなWebや映像コンテンツが重要に
- 「Advertising is Dead」であるが、「Creativity is Dead」ではない
- 見たくなるような映像や体験
- これを実施しているクライアントが好きになるようなもの
- 友達に見せたくなるような世の中で話題になるコンテンツ
- 地上波のCM:Web上でのコンテンツ 現状8:2 が 2~3年で逆転する
■ローカルにしか通用しない広告は作りたくない
- ヨーロッパやアメリカで流すCMを作っている日本の代理店はない
- うまくローカライゼーションすることができない
- 全世界で展開するコミュニケーションを請け負える代理店がない
- 海外でのブランディングをうまく進めている国内企業の事例も無い
- 日本企業が世界へ進出するにはグローバルな戦いをしなくてはならない
- 世界を相手にしたブランディング競争が必要となる
- Pullしてもらえるコンテンツと世界に通用するクリエーティブ表現が必要
- Youtubeでは様々な映像がフラットに並ぶ異業種格闘技戦、本当に見たいものだけが見られる
- 日本国内でしか通用しない表現のみをやっている場合ではないと感じるようになった
- 企業がグローバルブランディングしていくためにどうするかを考えて行きたい
★日本国内でヒットすればいいという目標ではなくグローバルに通じるものを作ること
★Pull型になったとき通用するのは広告の枠をこえた感動や楽しさがあるもの
★世界に通じるものを作るための土壌が必要
■デザインやアルゴリズムの重要性
- 日本企業はパッケージにも経営にも軽視してきた企業が多い
- 海外の企業、韓国や中国もパッケージなどかっこよくなってきている
- コンピューターやナノテクノロジー、ゲノムのテクノロジーの進化
- iPhoneの容量や処理スピードも年々倍増している
- ムーアの法則によると35年で地球上全体の情報がスマホに収まるようになる
- テクノロジーの進化の先にどんな未来がやってくるのか
★その時代性を考えつつこれからどうしていくのか考える必要がある
■まとめ
★Brand Identity
- このブランドはどんなものなのか
- 透明性のある言葉で伝えること
★Creativity
- 世界に通用する誰もが面白く感じる表現
- 広告を着信拒否できる時代でも見られるものはなんなのか
★Design
- 物があふれる中で身につけたくなるデザイン
★News
- 見たくなるようなニュース性
- 友達にも見せたくなるようなニュース