第7回 高校生直木賞が大島真寿美さんの『渦 妹背山女庭訓 魂結び』に決定しました。高校生直木賞とは、毎年全国の高校生があつまって熱いディスカッションをし、直近一年間の直木賞候補作品の中から今年の一冊を選ぶ試み。通常なら全国から高校生が集まって議論して、終了後も交流して仲良くなるようなイベントだったのですが、今年はコロナの影響もありZOOMを使ったオンラインでの開催となりました。何かイベントの全体〜雰囲気も形に残せないかということで、ディスカッション全体〜高校生直木賞の決定までをグラフィックレコーディングすることとなりました。
イベント概要
内容:第7回 高校生直木賞
開催:2020年8月23日 オンラインにて実施
参加:全国32校の高校生みなさん
主催:高校生直木賞実行委員会
〈候補作〉
・朝倉かすみ『平場の月』(光文社)
・大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(文藝春秋)
・小川哲『嘘と正典』(早川書房)
・川越宗一『熱源』(文藝春秋)
・窪美澄『トリニティ』(新潮社)
当日の流れ
前半戦 13:00 – 15:30
・32校を2班にわける
・各校から自分たちが推す作品をプレゼン
・ディスカッション
・班として推す作品を2〜3選出
最終選考会 15:30 – 17:00
・選出された作品についてディスカッション
・高校生直木賞決定!
準備1. グラレコを2人体制に
高校生が2班に別れてZOOMでディスカッションするため、物理的にグラフィッカーも2人必要に。TWDWでの大量グラレコ以降よく一緒に書いているうさぎのしおりんさんと2人分担グラレコしました。
準備2. オンラインコラボツール miro 活用
Procreateでは書いている状況をリアルタイムに動画配信することはできますが、広いキャンバスのみたい部分を閲覧者が自由にみることはできないため、今回はオンラインコラボツールの「miro」を使ってみました。
複数人で同時に書き込める
複数人で同時に作業・書き込みできるのもメリットですが、さらに大きいのは閲覧者が見やすいという点です。
好きな端末で、好きなところを閲覧できる
特別なツールをいれなくても、PCやスマホのブラウザからリアルタイムに見て、自分の好きな部分へ移動して、拡大して表示することができます。班に別れているお互いのチームのディスカッション状況などもみることができるので、オンラインで断絶しがちな間をすこしでも繋げないかという試み。参加高校生がコメントを書き込みことも企画段階では検討しましたが、今回は運営が複雑になりすぎるためこれは無しに。
事前に流れを作っておく
班に別れた前半のディスカッション 〜 みんなあつまって最終選考、高校生直木賞の決定、というフローをあらかじめmiroにエリア設定しておき、その中にグラレコしていきました。
準備3. 候補作を読む!はずが…
ディスカッションするされる本の内容をわかっていないと話についていけないので読んでおくことが一番大事だったのですが、本を読み進める習慣が身についていない自分にはハードル高く、最終的には本の内容をグラレコパートナーのしおりんさんから教えてもらうことに…。その共有方法もグラフィッカーならではで、読んだ内容をビジュアルにして、それを見ながらあらすじを聞くという先生スタイルで、とても把握しやすかったです。しおりん先生さまさま…。
準備4. イメージ収集
実在した人物が登場する作品があったり、戦時中だったり、アイヌだったり樺太だったり。そういった内容を補足イラスト描くことがあれば、イメージわかっていないと描けないため、事前に最低限イメージを見て保存しておくこともあります。結局使わないことも多々ありますが、ああそういう世界観なんだ、とかそういう時代背景や服装なんだ、というような事前のインプットとしても有効です。
全体のグラレコ完成
細部までお見せすることはできないのですが、前半戦〜最終選考会、高校生直木賞の決定!を以下のようなフローでグラレコし、まとめました。参加されてた高校生チームや先生方にも共有いただいたということで、すこしでも当日の思い出や熱いディスカッションを思い出す装置になってくれれば。
全体はお見せできないため、一部抜粋でグラレコ紹介
miroをグラレコに使ってみた懸念点
これは書いておかねばと思う懸念点をメモしておきます。
キャンバスが激重に
今回miroのフリーハンドな線画ツールを使って文字や絵を書いたのですが、miroはAdobe Illustratorのように線1つ1つをパスのように描画するので、そのせいか最終局面になったころにはキャンバス上の挙動がかなり重くなってしまい、パーツを動かすにも時間がかかるようになってしまいました。そもそも手書きで文字を大量に書くツールではない…
文字や線が描きにくい
そもそもそういう用途のツールではないためしょうがないのですが、文字や線をフリーハンドで書きにくく、ヨレヨレした線になってしまいました。
じゃどうする?
コラボできるツール、さらに閲覧者が自由に見たいところを見られる。というメリットで使ってみたmiroでした。コラボのみの機能であれば最近リリースされていたLimeboardという手書きコラボアプリも要チェックしてみたいところです。