日本の魅力を世界に発信するCMコンテストmy Japanが開催していたトークセッション「世界に通用するクリエイティブ~グローバルとローカル~@渋谷ヒカリエ 8/COURT」に、電通 高崎卓馬氏、博報堂ケトル 木村健太郎氏、モデレーターに銀河ライター 河尻享一氏が登壇されるということで、参加してきました。おふたりが作られた映像を見ながら、その映像を作られた考えや背景などを聞けるトークセッションでした。
■映像そのものの強さよりも、背景にあるものの強さを表現できるようになった @高崎さん
- 木村さんのような新しい広告のつくり方をする人たちがどんどんでてきて、ソーシャルを始めとしていろいろ手法がでてきた。
- デジタルは実際に人を動かして映像にするということを可能にし、ものを売るだけじゃなくて、人に働きかけることができるようになった。
- 映像そのものの強さよりも、背景にあるものの強さを表現できるようになった
- やっていることがおもしろいという映像のおもしろさが作れるようになった
- 最近は一回りしてやはりコンテンツそのものが大事になってきてると感じる。
【事例】未来のキオク @木村さん
- 震災のあとにGoogleができることを検討~実施したプロジェクト
- 東日本大震災の被災地の写真・動画を集めてアーカイブした
- フィクションではなく、リアルな声を集めて映像を作った
- どこか嘘っぽい「リアル風な広告」ではなく、リアルな声
■リアルの強さに負けない、フィクションが作れないかと考えた @高崎さん
- CMはリアル風に作るフィクションなものが多かった
- 3.11以降、これは必要な映像か?と考えるようになった
- 同時期に海外でもfor good 、social good という同じような流れがあった
- 過去の広告のつくり方は「おいしい」の言い換えを探ることが多く、作家性の強い人が良い作品を作っていた。
- メディアの意味がかわって、映像の意味もかわってきた。
- 意識の高い人のほうがでかい仕事、意味のある仕事をするようになった。
- 九州新幹線のCMを見て自分にはゼッタイに作れないとショックを受けた
- 自分なら完全にシミュレーションして、すべてをしこんでしまう
- 映像からカメラマンが喜んでいるのが伝わってくる=映像のパワーになっている
【事例】祝!九州 九州新幹線全線開
- フィクションでも映画や小説など感動することはできる
- リアル、フィクションどちらかに行ききっていないと感動できない
- リアルの強さに負けない、フィクションが作れないかと考えた
【事例】ドコモdビデオ
- スマホで映画を見ることができるサービス「docomo dビデオ」
- ふつうに宣伝されてもなかなかやらないので伝えることを一つ「映画」に絞った
- デニーロをキャスティングし、隣に誰をおくかという検討のとき松田龍平をキャスティング
- 松田優作はブラックレインの後、デニーロから競演オファーを受けるが、実現しなかった
- 息子で2人競演の夢を叶えるという企画で、そこに鳥肌がたつ
- リアルのよさは、鳥肌がたつ感じ
- Sound of Honda もきっと現場にいたら鳥肌がたったはず
- フィクションでもノンフィクションでも関係なくなる
■偶然性をいかして映像をつくるほうがいい @木村さん
- 最近海外のスタッフと撮影チームを組むことが多い
- 日本のチームだと絵コンテそのまま厳密に撮影することが多いが、海外のスタッフは現場の状況でどんどん変えていくことがある。
- 天気や場所、出演者の状況によってどんどん変える
- もっと良くするためにはどうすればいいか常に考えている
- 奇跡を定着するためには、常に考えていることが必要 @高崎さん
- 美川憲一さんや大滝秀治さんがでているキンチョーCMも現場ですごくかえていた
- 現場で台詞を変えていて、絵コンテにも「セリフは現場でかわります」と書いてあった
- 撮影する2人を直前まで会わせない等、現場でおこる奇跡を事前にしこむことも
- 一般論や誰にでもわかる表現だと誰にも響かないものになってしまう
- 行為で感情を表現する 想像力を刺激する
- 自分だけが気づいたという感じ
■一般論や誰にでもわかる表現だと誰にも響かないものになってしまう @木村さん
【事例】TOYOTA 86S J001 HAKONE ドキュメントムービー
- TOYOTA 86オーナーと作り上げたリアルドキュメントで箱根駅伝の日にCMを放映
- ほとんどのひとはピンとこないが、見るひとがみると深くささる
- 箱根を借りきっているイベントで、コアファンは誇りにおもっている
- 楽しみにしていてぐっとくるイベント
- 86台のオーナー、86個の峠をせめるアプリ等
- コアなところで深いコミュニケーションをつくった
【事例】Google Chrome hatsune miku
- 世界中のユーザーが初音ミクの曲やイラストを作り、共有している様子をまとめたもの
- さいごにはライブを実施
- コアなファンへのファンサービス
- 1人をみてラブレターを書くような企画
- 無限にある表現から1つを選ぶとき、まずは選ぶ理由を決めないとアウトプットできない @高崎さん
- 大人のスポーツカー文化をもう一回つくるんだ!と決めると、それにあわせてトンマナが決まってくる
- なにをやるか、を一番始めに決めて腹をきめないといけない
- ドコモdビデオの場合だと、「映画押しでいく!」というような作り手の情熱、エネルギーが大事
- どちらの映像も、好きな人が作っているということが大事
- みんなに伝わるってものはない
- ほとんど誰もみないようなコンテンツ
- 「みんな」はどこにもいない
■商品説明ばかりのCMはつまらない @高崎さん
【事例】au Pashapa
- 使い方を説明するCMつくってくださいという依頼だったが、説明ではなく人が動くものにしたかった
- 説明と物語は違う
- 説明では感動はしないが、物語フレームにいれるといきいきする
- 自分の人生のどこかに関係あるものと思わせる
- 商品自体のこと以外に、企業のおもしろさなども伝えられる
■人間の本性をベースにディレクションしている @木村さん
- スペック伝えてもしょうがないので、人間だれしももっている本性、人生に関係あるものへ変換
- 受光センサーが大きい → 光の旅 → 光って大事
- 誰にでも通じるユニバーサルなメッセージへ変換
- 海外のCMは思想で共感させるものがおおい
- 人類普遍のストーリーへ置換
■言葉を使うのをやめようと思った @高崎さん
- 上のauのCMは海外ではまったく受けなかった
- 見る人の背景がちょっとずれるとまったく意図が通じない
- 20代後半の頃、日本のCMと海外CMの違いを感じて、自分の仕事つまらなく感じていた
- 海外のCMばかりみていて憧れていた
- 29歳のとき企画し、31歳のときにつくったCM
【事例】AC:こどもから想像力を奪わないでください
- 言葉を使うのをやめようと思った
- 最後にはっとなるものを作ろうとおもった
- ロジカルに考え、言葉を使わない
- こどもや教育というのは人類共通のテーマで、世界にも通じる
- Cannnes FILM Silver、adfes GOLDを獲ることができた
- ローカルな視点を利用していると理解されないため海外賞はとれない
- タイのあるCDは最後のクジラが豆に見えてたらしいが感動してくれていた、という裏話も
【事例】Tokyo Japan 2020 Olympics City Share the Pulse
- IOC総会というグローバルな場に向けた映像で見る人達もさまざま
- いろんな国のひと、文化に共通するスポーツの喜びを表現した
- IOCの人たちが一番大事にしている部分を自分たちはすごく大事にしますよという愛情表現
- そこを異常に大事にしますよというラブレター
- 海外からみると東京には象徴的なイメージが無かったので、湾岸からの風景 シルエットがパルスになると思った
- 全体はシンプルなつくりだが、みんなの心の琴線にふれるパワーがある映像
- 5分くらいの尺があるとゆっくりと感動させることができる
本日は高崎卓馬(@takumantakuman)さん、木村健太郎(@tabinokanata) さん、河尻亨一(@kawajiring ) さんのトークセッションでした! 参加者のみなさま、ゲストのお三方ありがとうございました。 pic.twitter.com/DgmuHn0NlH
— my Japan (@my_Japan) 2014, 7月 22
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